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村上大介 日本男子の飛躍

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フィギュアスケートNHK杯 初優勝!村上大介選手‼

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1415/columndtl/201411300001-spnavi

村上大介、ポジティブ思考が生んだ初V
引退を考えた男が見せた華麗なる復活劇


スポーツナビ2014年11月30日 10:50

“日本人第3の選手”が躍動

 フィギュアスケートで村上と言えば、女子のエース・村上佳菜子(中京大)を連想する人がほとんどだろう。さらにダイスケと言えば、字は違うものの先日現役を退いた高橋大輔がまず思い浮かぶ。フィギュアスケートの知識がなくても彼らの名前と顔は多くの人が知っているはずだ。
 しかし、今回この記事で取り上げるのは、同じ村上でも女子のエースではなく、同じダイスケでも引退したレジェンドでもない。村上大介(陽進堂)というひとりのスケーターである。

 11月28日から行われたNHK杯(大阪・なみはやドーム)。男子で注目されていたのは五輪王者の羽生結弦(ANA)が、中国杯での負傷からどこまで回復しているか。またはスケートカナダでグランプリ(GP)シリーズ2勝目を挙げた無良崇人(HIROTA)が初のファイナル進出を決められるかというところだった。2年ぶりのGPシリーズ出場となった村上は、失礼を承知で言えば“日本人第3の選手”という位置付けだった。

 しかし、「ノープレッシャーだった」という第3の男はショートプログラム(SP)から躍動した。冒頭の4回転サルコウ+ダブルトウループのコンビネーションをきれいに決めると、その後もノーミスの演技を披露。自己ベストを更新する会心の滑りで、本来の調子とは程遠かった羽生を抑え、3位(79.68点)につけた。さらに29日のフリースケーティング(FS)では、プレッシャーに苛まれた羽生と無良がミスを連発する一方で、のびのびとした演技を見せる。序盤の4回転サルコウ、続く4回転サルコウ+ダブルトウループを見事に着氷。その後は「緊張が全部ふっとび」確実にエレメンツをこなしていった。会場がスタンディングオベーションに包まれた演技につけられたスコアは166.39点。合計246.07点と自己ベストを40点以上も更新し、GPシリーズ初優勝を果たした。


村上大介がかつて苦い経験を味わったNHK杯で初優勝。華麗なる復活劇を見せた【坂本清】

苦い経験を味わった2年前のNHK杯

 村上にとってNHK杯は、忘れたくても忘れられない苦い経験を味わった大会である。2年前、高橋や羽生とともに出場したNHK杯の前日練習で、トリプルアクセルの着氷時に手をつき右肩を脱臼。自ら骨を入れ直し、テーピングや鎮痛剤を飲むなどの処置で翌日のSPに強行出場したものの、冒頭の4回転サルコウで転倒した際、完全に右肩が外れてしまった。

 その後すぐに自身が拠点を置く米国に帰国。手術を受け、2012-13シーズンはほぼ棒に振った。村上は当時の状況を述懐する。

「その年の全日本選手権は米国からユーチューブで見ていました。本当に悔しかったし、『引退したい』とまで思いました。ただそういう考えでスケートを辞めたくなかった。とにかくどこまで成績を上げられるかというのを自分でも示したかったので、その思いで頑張りました」

 何の因果か、2年ぶりのGPシリーズ復帰戦は再びNHK杯だった。SPでは会心の演技を披露し、スタンディングオベーションを浴びた。「最後に思いがあふれて」ガッツポーズを繰り返したが、「復活」という言葉に対しては首を横に振った。

「まだ自分では復活したとは思っていません。SPでは納得いく滑りができましたけど、FSはさらに厳しい。今日の点数と結果は忘れないとだめですね」

 SPとFSを2つそろえて初めて「復活」と言える。村上は浮き立つ自分の心を戒めるためにそう語ったのだろう。


SPでは会心の演技を披露し、スタンディングオベーションを浴びた【坂本清】

「優勝なんて考えていなかった」

 その一方で、村上は2日間底抜けに明るかった。SP後のトップ3会見で、羽生についてコメントを求められると「羽生選手は僕のアイドル。僕自身は絶対に順位が落ちると思うので、FSでは頑張ってほしい」とファン目線で語り、場をなごませた。好調だったことや根っからの性格もあるのだろう。メディアには常にはじけるような笑顔で対応。険しい表情を見せることが多かった羽生とは実に対照的だった。

 これには村上を指導するフランク・キャロルコーチの影響もある。バンクーバー五輪で金メダルを獲得したエバン・ライサチェク(米国)を育てたこの名伯楽は「常にラッキーであると信じ、どんな状況でも最終的にはうまくいく」という考えの持ち主。村上も自らの師を手放しで称賛する。

「今回はフランク先生が来てくれてメンタル的に助かりました。とにかくすべての話がポジティブなんですね。不安になることもなかったです」

 さすがにFSでは「頭が真っ白になった」と笑ったが、キャロルコーチの助言どおり「練習のように滑った」村上は、2日間ともにノーミスで演技を終えた。この時点で暫定1位。すると、後続のジェレミー・アボット(米国)と無良にミスが出て優勝が転がり込んできた。周りはおろか、本人でさえ予想していなかった結果に、村上の喜びは爆発した。

「この試合になると、おととしのNHK杯しか思い出せなかったんです。あの試合からここまで来ることができたんですね。とにかく今大会はファイナルとか何も懸かっていなかったので、自己ベストを出してノーミスの演技を見せたいと思っていました。それが表彰台に乗って、さらには優勝できるなんて考えていなかったので、本当にうれしいです」

 大会中、常に笑顔を絶やさなかった村上だが、表彰式では涙を見せた。GPシリーズ初優勝という喜び、そして何よりキャリアの危機にひんした2年前のNHK杯から歩んできた苦難の道のりが胸に去来したのだろう。そんな村上を、無良とセルゲイ・ボロノフ(ロシア)が肩をたたき祝福していたのは実に心温まるシーンであった。

2種類の4回転という武器

 誰もが予期しなかった村上の優勝で、日本の男子フィギュアはさらに混戦を極めそうだ。GPファイナルには羽生、無良に加えて町田樹(関西大)の3選手が進出。日本勢3連覇の期待が懸かる。GPシリーズでは不本意な結果に終わったベテランの小塚崇彦(トヨタ自動車)も、このまま黙ってはいないだろう。何より1度は引退さえ考えた村上が見せた華麗なる復活劇は、多くの選手たちに刺激を与えたはずだ。

 村上と同じ23歳の無良はそれを認める。

「世代が一緒なので、優勝したことには素直に『おめでとう』と言いたいです。それだけ良い演技だったと思います。僕は3位で納得です。刺激にはなりますね。何より彼は4回転を2種類(トウループとサルコウ)跳べる選手。僕もサルコウを習得しなければいけないなと感じました」

 2種類の4回転を跳ぶ選手はそれほど多くない。羽生でさえ、サルコウの成功確率はトウループに比べると落ちてくる。それを安定して跳べるとなれば、一気にトップ戦線に浮上することも十分可能だろう。その一方で、キャロルコーチは村上の課題も指摘している。

「ダイスケは非常に足元が軽快だ。弾むボールのようにきれいに跳ねるところが彼の特長だと思う。たとえば4回転もトリプルアクセルもダイスケにとってはそれほど難しいものではない。ただ彼は集中が途切れることがある。彼の課題はあきらめずに最後まで滑り切ることにある」

 12月の全日本選手権は、NHK杯王者としてかつてない注目を集めることが予想される。地獄と天国を経験した23歳の新たなストーリーには、果たしてどんな筋書きが用意されているのか。その答えは1カ月後に明かされる。

(取材・文 大橋護良/スポーツナビ)


表彰式では感極まった村上(中央)を、無良(右)とボロノフ(左)が肩をたたいて祝福【坂本清】



日本男子の飛躍が素晴らしいですね。

日本男子をずっと引っ張ってきた、日本人選手、五輪初メダリストの高橋大輔選手のお陰だと思います。






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